桶谷式とは
赤ちゃんが吸啜(きゅうてつ)することは、本能的に備わっていることですが、おっぱいを上手に飲めるようになるためには赤ちゃんも学習が必要です。
また、赤ちゃんは生まれた後、最初に吸啜したものをインプットしてしまいますので、可能であればなるべく哺乳瓶などの人工の乳首よりもお母さんの乳首を吸わせることが大切です。
桶谷式乳房マッサージ法とは、故桶谷そとみ先生が考案されたマッサージ法で、乳房の基底部の伸展を良くして、赤ちゃんが飲みやすく、おいしいおっぱいをスムーズに分泌させる「痛くない」「よく出る」乳房マッサージ法です。
母乳育児のメリット(お母さん編)
母性を育くむ
お母さんは赤ちゃんに乳首を吸わせることで母性ホルモンといわれるオシトシンが分泌されて母乳の分泌を促します。
また、心をリラックスさせて豊かな気持ちにさせてくれます。3時間以内の授乳が頑張れるのもこの母性ホルモンがおおいに影響しているともいわれています。
子宮の回復を促す
赤ちゃんにおっぱいを吸わせることによって、オキシトシンが子宮を収縮させ産後の回復を促してくれます。
簡単に赤ちゃんにあげられる
ミルクを作る球がいらないし、適温で衛生的です。外出時の荷物も少なくて、何よりも環境にやさしいです。
ガンのリスク軽減
母乳育児をしていた女性は、乳がんの罹患率や卵巣がん・子宮がんのリスクが軽減されるという報告があります。
経済的
ミルク代がかかりませんし、赤ちゃんが病気になりにくいので、それに伴う病院の治療代、病院受診にかかる時間の節約にもつながります。
産後のダイエット
妊娠中に蓄えた脂肪は母乳の入試某へと変化していきます。俗に”母乳ダイエット” といわれたりもします。
母乳育児のメリット(赤ちゃん編)
栄養たっぷりの完全食です
母乳には、乳糖、脂肪、タンパク質、カルシウム、ビタミン、ミネラルなど赤ちゃんの成長に必要な栄養素がいっぱい入っています。また、生きた酵素も含まれるので赤ちゃんの消化器官をはじめとする内臓に負担をかけないようにできています。
消化吸収が良い
母乳栄養素は、赤ちゃんにとても吸収しやすいようにできています。ですから、身体に負担をかけず、アレルギー体質にもなりにくいといわれています。
赤ちゃんが病気になりにくい
母乳には、細菌やウィルスが身体に侵入して病気になるのを防ぐ免疫グロブリンという物質が含まれています。また、腸内を健康に保つビフィズス因子、殺菌作用を持つラクトフェリンやリゾチーム、白血球など身体を守る物質がたくさん含まれています。そのため、丈夫な子どもに育ちやすく、母乳をあげている間は輸血しているようなものなので(母乳は白い血液といわれています)病気にかかりにくいのです。
母と子のスキンシップを通して赤ちゃんの心が育つ
母乳を飲ませる時に赤ちゃんは必ずお母さんの胸に抱っこされています。赤ちゃんはお母さんに触れながらたくさんのぬくもり、愛情を感じながら育っていきます。言葉はすぐには分からなくとも、お母さんと赤ちゃんの間で起こるアイ・コンタクトは心と心の会話といえるでしょう…。「目は口ほどにものをいう。」愛されていることを確証したお子さんは、人を信頼し、愛することのできる心豊かな人間へと成長していくのです。
欲しい時に欲しいだけ飲むことができ、とても衛生的
ミルクのように沸騰したお湯や消毒した哺乳瓶の必要がいりません。
顎(あご)の発育を促す
母乳を飲むためには、顎や舌などを力強く、器用に使わなければなりません。このことは顎の発育のためには大切なことです。顎が発達すると、そしゃく力も発達してよく噛むことができる子どもになります。歯並びも良くなり、歯科矯正の必要もなくなるでしょう。特に大切なことは奥歯が噛めること。つまり、つらいときにグッと奥歯を噛みしめて我慢できる子どもに育つということです。「キレる」という言葉をよく耳にしますが、噛むことに関連しているのではないかと思ったりします。
脳へのよい刺激
赤ちゃんは、母乳を飲むときにたくさんの能力を使っています。その刺激は脳へと伝わり、たくさんの刺激を受けた脳はよりよい発達をしていき、運動神経や頭が良くなるといわれています。
母乳の出るしくみ
妊娠すると、卵巣や胎盤から出るホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)が乳房を発育させ、授乳に向けて準備を始めます。ですが、赤ちゃんがお腹の中にいる間は、胎盤からでるホルモンが母乳分泌にストップをかけているので母乳は出ません。やがて、赤ちゃんが生まれて胎盤が排出されると、そのストップは解除されて母乳の分泌が始まります。
母乳を作るホルモン(プロラクチン)が、脳下垂体前葉から分泌され、また赤ちゃんがおっぱいを吸啜する刺激が脊髄から脳に伝わって、プロラクチンとオキシトシン(母乳を押し出すホルモン)が分泌され、母乳が出るようになってきます。よく「おっぱいが小さいから」「おっぱいが張ってないから」出ないと思っている人が多いようですが、おっぱいは出来た母乳がたまる所ではなく、母乳を作り出す工場であることを知っていただきたいものです。おっぱいは「白い血液」といわれるように原料はお母さんの血液で出来ています。そして、その白い血液を作り出す原動力は、赤ちゃんがおっぱいを吸う刺激であることを忘れずにいてください。